【内装BIMの課題と展望】なぜ施工現場で止まるのか?──DX推進部門が直面する現場実装の壁とBuildApp 内装 建材数量・手配サービスの解決策

【目次】
なぜ内装BIMは“最後の壁”なのか?
建設業界ではBIM(Building Information Modeling)の活用が着実に進展しています。2024年に国土交通省が公表した調査によれば、設計段階におけるBIM導入率は58.7%に達しており、2022年から約10ポイントの上昇が見られました[1]。
しかしその一方で、施工段階、特に「内装」分野におけるBIM活用は依然として課題が多く残っています。日本建設業連合会の報告によると、施工BIMの活用率は全体で39%にとどまり、仕上げ・設備分野では「数量把握の難しさ」などを背景に活用度が相対的に低い傾向があると指摘されています[2]。
DX推進部門としては、設計フェーズとの連携は進めやすいものの、現場での定着や効果測定には「現場で使いづらい」「扱える人がいない」などの課題が潜んでいます。つまり、BIMを“現場で活用する”には、導入そのもの以上に「実装環境」の整備が求められています。
内装BIMが現場で活用しづらい5つの理由
内装BIMの活用が現場で進みにくい要因として、以下の5点が挙げられます。
1つ目は、「設計と施工モデルの乖離」です。2023年に日建連が実施した調査によれば、設計施工分離型案件におけるBIMモデルの継続活用率はわずか14%にとどまりました[3]。このことから、構造的に施工フェーズへのデータ継承が途切れやすい実態が明らかになっています。
2つ目は、「人手不足と繁忙期による工数圧迫」。とくに内装工事では短工期・多現場の傾向が強く、新しいツールの習熟に割ける時間が極めて限られています。
3つ目は、「現場作業員のデジタルリテラシーの格差」です。2024年の国交省調査では、建設技能者全体のうち55歳以上が36.6%、29歳以下は11.6%と報告されており、高齢化と若年層の割合の低さが教育のハードルとなっています[4]。さらに、外国人技能実習生の増加による言語・文化的障壁も指摘されています。
4つ目は、「BIM人材の不足」。社内にモデル調整や施工BIM運用を担う人材が育成されていない企業も多く、現場と上流をつなぐ“橋渡し役”が不在となっているのが現状です。
5つ目は、「データ連携の不整合と二重管理リスク」。施工図、発注リスト、工程表などがツールごとに分断され、BIMとの連携において再入力や手動調整が発生し、かえって非効率を招くケースも報告されています。

「理想はわかる。でも現場では無理」そんな声に寄り添うには
BIMの導入に際して現場からよく聞かれるのが、「理想は理解できる。でも、今の現場には無理がある」という言葉です。
現場では、PCやタブレットを使った操作に抵抗のある職人や、現場で使えるデータになっていない、「そもそも前提が整っていない」ケースが多く見られます。さらに、端末管理・運用ルールが不明確な現場では、BIMモデルにアクセスすらできないといった状況も発生しています。
DX推進部門と現場の間にある“見えない壁”は、単なる技術ギャップにとどまりません。「BIMを使うことが前提」ではなく、「BIMを使いたくなる環境づくり」こそが、本質的な導入成功のカギとなります。
“施工BIM活用”を実現する、現場起点の解決策
こうした課題を解決する実践的な選択肢のひとつが、BuildAppが提供する「BuildApp 内装 建材数量・手配サービス」です。
このサービスは、生産設計BIMモデルに含まれる建材属性をもとに、必要数量を拾い出し、施工に必要な資料をアウトプットします。これにより、BIMデータを現場で活用できるようになるだけでなく、ベテラン職人の勘や経験に依存していた業務を、再現可能なプロセスとして誰でも扱えるようになります。
さらに、プレカット加工にも対応しており、工場で事前にカットされた部材が現場に届くため、現場での加工作業を低減可能です。作業の平準化、属人性の排除、教育期間の短縮など、多くの副次的効果も期待できます。
BuildAppは、「ICTに詳しい人のためのツール」ではなく、「現場で無理なく扱える設計」に基づいたソリューションであり、施工BIMの現場利用を支える存在です。
DXのラストワンマイルを、現場に届ける
設計フェーズにおけるBIM活用が定着しつつある中で、いまだ未開拓領域として残されているのが“施工BIM”、とくに内装分野です。
BuildAppは、この“ラストワンマイル”に対応するソリューションとして、実装・操作・効果すべてにおいて「現場基準」を意識した設計を行っています。
施工BIMの普及は「ツールの導入」ではなく、「現場での実行可能性」を起点に再設計することで初めて本質的なDXが成立します。BuildAppは、その変革に必要な“第一歩”を支えるためのツールです。
出典一覧(発行年・調査年を明記)
[1] 国土交通省「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査(2024年発表)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001876975.pdf
[2] 日本建設業連合会「施工BIMスタイル2024」
https://www.nikkenren.com/kenchiku/bim/pdf/zuhan/bimstyle_2024.pdf
[3] 日本建設業連合会「BIM活用実態調査(2023年)」
https://www.nikkenren.com/kenchiku/bim/seminar/pdf/jfcc2022_08.pdf
[4] 国土交通省「公共工事の現状と今後の取り組み(2024年)」
https://tekitori.or.jp/files/libs/1748/202406261244119736.pdf