現場が動けばDXが動く ── BIM導入の鍵は「味方の現場所長」から始まる

施工現場のDXを推進しようとする担当者が最初に直面するのは、「現場になかなか浸透しない」という壁です。制度は整い、ツールも揃ってきました。にもかかわらず、導入が進まない。その要因は現場側の問題ではなく、現場には現場なりの合理性と判断基準があることにあります。
【目次】
なぜ現場運用が難しいのか?──DX担当者の歯がゆさ
例えば、長年の経験に基づく勘や段取りで効率よく現場を回してきた所長や番頭・職長の立場からすれば、「新しいツールを導入する必要性が今は感じられない」と考えるのも自然なことです【1】。これは変化に後ろ向きなのではなく、現在のやり方にも十分な理由があるということです。
また、BIMのような新しい仕組みに対して、「操作を覚える時間が確保できるか」「習熟までの負担はどの程度か」という懸念を持たれるのも当然のことです【2】。忙しい現場では新しい業務を覚える時間の確保は容易ではなく、慎重になるのも理解できます。
さらに、本社と現場の間で情報共有や意思疎通が十分でない場合、「現場の実情が十分に理解されていないのではないか」という感覚が生まれることもあります【3】。こうした状況が、導入への慎重な姿勢につながっているのです。
このような状況に、DX担当者はもどかしさを感じます。「せっかく準備しても、現場に納得してもらえなければ意味がない」。しかし現場は決してDXに反対しているわけではありません。現場の納得感を得ながら、どのように導入を進めていくか
──それが導入初期における最大の課題となります。
味方の現場所長を探せ──最初の協力者のつくり方
DX推進担当者がBIM導入を進める上で重要なのは、「誰が現場側で一緒に取り組んでくれるのか」を見つけることです。現場での理解と協力を得るには、全体を一度に動かそうとするよりも、まずは一人、一緒に試してくれる現場所長を見つけることが現実的かつ効果的なアプローチとされています。
なぜ「一人の協力者」が重要なのか
BIMやデジタルツールの導入は、組織内での「実際の体験」に基づいた理解がないと定着しにくい傾向があります。特に施工現場では、「実際に誰がやってみたのか」「それでうまくいったのか」が大きな判断材料になります。
実際に、あるゼネコンでは最初に協力的だった所長の成功体験が、社内導入の突破口になったという事例が報告されています【2】。
協力的な現場所長の傾向
協力を得やすい現場所長には、以下のような傾向が見られます。
- 変化に対して前向きで、新しい取り組みに関心を示すことが多い
- 設計部門との連携経験があり、情報共有の価値を理解している
- 過去に業務改善への関心を示していた経験がある
- 人間関係が比較的オープンで、DX推進部門とも信頼関係がある
もちろん、これらの傾向だけで判断するのではなく、「話を聞いてくれる余地があるか」「一緒に取り組む意欲があるか」を見極める観察力が必要です。
最初のアプローチ──どう伝えるか
「BIMを使ってください」ではなく、まずは「今、現場でどこに課題を感じているか」「こういう支援ができるかもしれない」という形で対話を始めることが大切です。
たとえば、
- 「拾い出し作業で時間がかかっているところはありませんか?」
- 「資材搬入の調整で工数がかかっていませんか?」
といった具体的な問いかけは、現場の業務と直結しやすく、自然な対話の糸口になります。
一人の現場所長と協働して小さな成功体験をつくると、それが社内で「うまくいった事例」として伝わっていきます。とりわけ現場間での情報共有は影響力が大きく、「○○現場ではうまく活用できているらしい」といった情報が、他の現場への心理的ハードルを下げる効果があります【2】【4】。
BuildApp 内装 建材数量手配サービスでできる”はじめの一歩”
最初の協力者と小さな成功体験を共有できたら、次は「何から始めればいいか」という現場の疑問に応える必要があります。BuildApp 内装 建材数量・手配サービスは、初期研修が不要で一案件からの導入が可能という点で、現場にとってハードルの低いツールです。
ここでは、現場実務の中で取り組みやすい”はじめの一歩”をご紹介します。
材料の「拾い出し精度」の向上から始める
- 生産設計 BIMモデルから資材数量を自動で拾い出し
- 手作業による算出ミスや手戻りを削減
- 現場で発生する廃材削減
生産設計BIMモデルから「割付方針図」や「間配り計画表」を出力する
- 割付方針図や間配り計画表を生産設計BIMモデルから出力
- 揚重や搬入のタイミング調整がスムーズに
- EV占有時間の削減や他工種との調整を改善【5】【6】
●具体的な効果例:
- 納品された図をもとに現場内のルート設計が可能
- 他業者との調整タイミングに応じた作業配置がしやすくなる
画面で”並べて見せる”ことで伝わる
- 拾い出しリスト・帳票・割付図を画面で表示
- 現場所長や職人に対して直感的な情報伝達が可能
●現場での実感:
- 数量×視覚情報により「これがこうなる」が理解できる
- 操作よりも「実感」が重視される現場では大きな効果を発揮
BuildAppは現場の声を反映し、使いやすさを重視した設計で開発されています。
最初からすべての工程で活用する必要はありません。
まずは1工程、まずは1案件から始めることで、現場での”違い”を体感できます。
小さな成功を社内に広げる3ステップ
現場での「最初の成功体験」は、DX推進の起点として非常に価値があります。しかし、これを一部のプロジェクトに留めず、社内全体に広げていくためには、計画的な共有と展開が必要です。
ここでは、BuildApp 内装 建材数量・手配サービスの導入容易性を活かした段階的展開の3ステップを紹介します。
ステップ1:小規模案件で「違いを実感」
●導入範囲例: 1拠点・1案件(例:資材拾い出し)
●期待される効果:
- 施工工程や揚重の段取りが簡素化
- 所長や協力会社の手間が軽減
- 導入負荷が低く「また使いたい」と思える前向きな反応が得られる
業界調査によれば、BIMを活用した現場では、エレベーターの使用効率向上や施工時間の短縮、廃棄物の削減など、業務の最適化につながる効果が報告されています【7】。
ステップ2:成功体験を「現場内・社内」で共有
●共有方法:
- 現場ミーティングや所内会議での共有
- 社内SNSなどでの発信
- 現場所長や若手担当者による直接発表が効果的
- 社内での報告会・勉強会の実施
●伝え方のポイント(実感ベース):
- 「BuildApp 内装 建材数量・手配サービスで拾い出しが早くなった」
- 「搬入計画を先に決めておけて、手戻りがなかった」
- 「計画表を見せるだけで職人さんがすぐ理解してくれた」
- 「数量の拾い出しの精度が上がったことで、廃材が減った」
ステップ3:複数部門での横展開を提案
●連携対象: DX推進部門、設計部門、購買部門など
●展開時のポイント:
- 「いきなり全社導入」ではなく、「1工程・1案件ずつ」の拡大を強調
- 現場の負担感を軽減し、段階的・確実な展開が可能
まとめ:「現場が動くと、DXが動く」
施工現場におけるDX推進は、制度や技術の整備だけでは前に進みません。重要なのは、現場での小さな成功体験を起点に、少しずつ周囲を巻き込んでいくことです。
現場所長の「一人の協力者」が現れれば、実務上の課題を解決しながらBIMの可能性を体感してもらうことができます。その成功体験が現場全体、そして社内全体へと広がることで、初めて「自分たちのDX」として定着していきます。
BuildAppは現場の声を反映し、そのための”使い始めやすさ”と”段階的な運用”を重視した設計です。
- 初期研修不要
- 1案件から導入可能
- 拾い出し・搬入計画・進捗共有など現場起点の支援
こうした特徴により、「まずは1工程・1案件から始めてみよう」という判断が可能です。
現場が動けば、DXが動く。BuildAppはその「最初の一歩」を支援します。
BuildApp 内装 建材数量・手配サービスによる現場支援について
BuildApp 内装 建材数量・手配サービスは、施工現場の声から生まれた「内装BIM × 建材手配支援サービス」です。拾い出し、搬入計画、工程調整など、1案件から導入できるBIM支援ツールとして、現場での段階的なDX導入を後押しします。
BuildAppでは、現場導入における「最初の一歩」を支援します。「最初の一人の実感」から始める、BuildAppの現場支援をぜひご活用ください。

施工BIM活用により、「施工計画の省力化」と「適切な建材管理で管理コスト減」による手配の最適化を実現します。
出典一覧
【1】大日本印刷「BIM導入の現状と課題に関するコラム」(2023年)
https://www.dnp.co.jp/biz/column/detail/20173438_4969.html
【2】国土交通省「建築BIM推進会議 ICT導入指針事例集(令和6年度)」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001851357.pdf
【3】】CAPA「建設DX、なぜ難しい?進まない理由を探る」(2025年)
https://www.capa.co.jp/archives/46592
【4】KEN-IT「建設ITブログ:現場BIM活用状況と導入課題」(2025年) https://ken-it.world/it/2025/05/bim-use-surges-on-site.html
【5】】CAPA「BIMモデル事業とは?種類や取り組み事例を解説」(2024年4月)
https://www.capa.co.jp/archives/45402
【6】Re-tem「建設リサイクル分野における循環型社会の構築」(2025年2月)
https://www.re-tem.com/ecotimes/column/feb2025/
【7】国土交通省「BIMモデル事業 検証結果報告書(令和3年度)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001473106.pdf